存在を主張する世界と私の、透明。
透明が好きなの。
記憶も、肌も、血も、髪も、内臓も、全てが存在を主張していて。
でも、水や涙、そして雨は透明で、大好き。
不思議よね。
体は全身で存在を主張しているのに、透明な涙を流せるのって。
世界はこんなにも色付いているのに、透明な雨や水を生み出せるのだから。
ふと誰かが、すっと透明になって消えたいと願って、その願いの力で人は涙を流せて、世界は雨や水を生み出せるようになったのかしらって、私は妄想してしまう。
だって、涙や雨、そして水は、私にとってとても儚い。
だから、私は透明な涙とかに惹かれるの。
私もすっと透明になって、ふっと消えたいから。
此間、雨の中で、傘をささずに、立っていたの私は。
雨の中で、ずっと泣いていたのよ、私は。
存在をこれでもかと主張する世界の中で、雨は透明だから。
だから、私は世界が透明になりたいと願っているようで、叶わなくて、それでもなれなくて、泣いているように思えたのです。
それが悲しくて、涙を流したのです。