私の夢は1日で、一瞬で、無の中に。

透明だから、誰も読めない。

日記

大地は死者すらその時を止めることはない。お前は美しい、と讃える、あるいは醜いと断じる、神の眼差しの証は一体どこにあるのだろう。すべての、不幸は凍りつかない。すべての、幸福は持続しない。なべて、時の廻りの只中で姿、形を変じながら、その魂の起源すら忘れ去って今だけ、それも失われ、この星の、孤独として振動している。だれもが、耳を塞ぐ。それは、痛みから発せられたからだ。しかし、すり抜ける。私はそれに、気が付かない。真実は、切実だ。しかし、私にはまだ遊びだった。空くなった時に、罪とはあらわになる。それは、世界の不幸を、負うひとりの惨めさだった。つまり、あなたとは人間だった。だから、ひとは注意する。あの雲の、たなびく気持ちよさに。陽だまりの、眠気に。冬の旅路に。すべてに、愛そうとする。そうするあなたがいる限り、世界とは祝福されている。まだ、地獄に堕ちきったわけじゃないからだ。なぜなら、あなたが愛そうとしている。それだけ、で、この風景には幸福がある。

日記

耳飾りが、淡く揺れた。冷たさを帯びた風が、吹き荒れてる。さみしい世界だ。人の、生きてゆく為の世界ではなくて、逆に生きてきたがゆえの夜なのだった。薄明の予感に、浅瀬は漣を揺らす。わたしの足は水に浸かり、時折り、星くずが瞬くのを掬い上げようとしてすべては零れ落ちていった。

歌だ。静かな歌が、いつまでも耳元に囁く。

死んでゆく、だから生きてゆく。

 

日記

人は哀れな、存在だ。

雪の降る、静かな夜にそんな感想が涙と伝った。

ほらー、きみはやっぱりかわいいね。

ねー、あの雲の形おかしいねー。

硝子の、破片のような記憶が、散らばった廃虚。

光が、どこから差し込んでは、それらいつまでも、こだましてる。

大切だったんだと独白する。くだらないやりとりも、みんな君が大好きだからだ。

あなたとの、何気ない日常こそ。

 

やぁ。

そいつはあなたの足を引きずりながら現れた。

 

ねえ。

そいつは誰なんだろう。

 

溢れてゆく、吐息が、こんなにはかなくて。

白く染まったそれは、あっという間に冷たく。

 

血の、匂いがした。

 

そいつは、わたしに飽きたのか、通り過ぎていった。

わたしは屈したまま、無様に震えながら、嗚咽をこぼした。

血の、滴り落ちたあとが、あたらしい雪に埋もれてゆく。空気が、あまりにつめたくて肺が痛かった。

 

涙は枯れた。

光は閉ざして、わたしは現実にいた。

ふらふら、て立ち上がって、もう何時間も座っていたのかと呆れて。

嫌に重たい体を引き摺りながら、

そうしてあなたにおかえりを、いった。

 

たぶん、笑顔が凍りついていた。

だけど、嬉しかった。だって君はそこにいた。

 

真っ暗な部屋で、寂しい光をともして、

ひたすらに話しかけた。

不安だったんだ、怖かったんだ。君が、いなくなった気がして。

日記

不幸な、一生だったと?は独白する。

薄暗い路地裏。朝日はいまだ、遠く、ただ静寂だけが嫌に痛かった。

俺の、握りしめたピストルの重たい金属の感触。

走馬灯はなかった。ただ、思い巡らすのはいつか、まだ静かな小春日和のような思い出だった。

いや、実際のところ、そんなものは見たいものを、見せてくる脳の作り出した最悪なデウスエクスマキナだろう。

脱力しながら座り込んで、目を瞑った。

 

目を覚ます。俺は肉の塊の、側に立っていた。

脳髄をぶちまけた、醜い死体だ。いや、俺だった。

 

そうして、その死体を発見した人は悲鳴を上げ、

俺の知らないだれかが、葬式をあげ、

俺は葬られた。

そうだ、俺はすべてをみていた。

 

そこで、死んだはずの、いや、いくらか若くなったお前が、やあ!君も死んだのかい?

って、馴れ馴れしく話しかけてきたのですべてを理解した。

 

今日も、町中の墓地で、友人とくだらない会話する。これも、驚くべきことだが、墓地は死したものには賑やかな場所だった。どうも、ひとは死んでしまった、年齢だけ、地上を生きねばならないらしい。

 

なあ、だんだんと、若くなって、しまいには赤子のようになって、ゆっくり、みんなの雪のように溶けてゆく。

それを、粛々と、みんな受け入れて、まるで、そんな事実なんてないように一日中、過ごしてる。

 

神なんてだれも、もはや信じてなかった。最初はみんな縋ったり、泣き喚いたりしたが、身近なひとが少しずつ、身体が崩れて、消え去るのを見た瞬間には諦めたような顔をして、黙っちまった。

 

俺たちはみんな生あるときに相手にか、自分にか呪われてしまった、それだけの理由なんだ。

 

道端で煙草が、捨てられていた。

俺も、最初の頃はこうだったのに。

ふと、思い出して、ああ、だれかが、煙草を拾ってゴミ箱に捨てた。そうして、なも知らないだれかが文句を並べてるだけ、その魂は淀んでいく。

 

すべて、等しいのだ。

吐きそうなくらいに生きること

昨日、このタイトルのまま何も書けずに寝てしまった。生きることは、地獄であり、それ以外の何者でもなくてたった独りの夜で絶望した人間は死というたった一つの光に見せかけた闇に取り憑かれたように縋り付き、その暴かれた正体の、といってもそんなものありませんよね、あまりの空虚に呆然と立ち尽くしてしまいました。季節は冬で、空は晴れ、風と光が硝子のように美しくて帰り道に笑いが溢れました。ぼくを押しつぶすブラックホールなんて最初からなかったんです。ぼくは自由すらなく、ほんとうに自由だった。悪という悪も、善という善も、押し並べて一つの詩だったんです。空に描いた世界は正しく空の香りで、それだからぼくは空そのものだったんです。分かりますか、この弾むような悦びを。では、また。

夏の夜

まだ黄金の光を神さまの祝福、とか神秘めいたものを感じていた頃、


世界と触れ合う感覚に喜びを抱いていた頃、


私は信じていた。


世界はずっと変わらないし、

私もまた変わらない。


信じるとは、疑わないこと。

信じるとは、小さな静寂。


小さな静寂の世界にあって

触れる一つ一つに

小さな幸せの灯火を感じたのです  」


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夏のまとわりつくようなじめじめした風に、星がぽつぽつ、と輝く夜空に。


耳を澄ませば、名も知らない虫の鳴き声が聞こえてきたからこそ。


バケツの水の中の使い終わった花火に寂しさを感じたからこそ、


突如として、漠然とした不安におそわれて。

信じる、に綻びを感じながら。

変化の波と訪れを感じながら。

溢れそうな涙を、心配はかけたくないからこそ、必死に悲しさ、苦しさ、飲み込んで。


世界は川に沈んでいて、

今日も、人も、何もかもが、

過去へと流れます     」



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私が嵐の前だと感じる夏の夜の話。


逆さ地獄

集団で虐められる毎日。


いつしか、人形だと思う自分がいた。


今日も虐められる。

今日も殴られる。

今日も蹴られる。


みんなに、笑われる。


うふふ。あたしは人形。

みんなを、笑わせる滑稽な人形。


パリン


ふざけんじゃねー。

お前ら全員呪ってやる。

地獄の底に引きずり降りしてやる。


パリン


「おい、こいつをみんなで抑えろ」

ガツン

あははは。

痛い。

痛い?

人形は痛くない。

ガツン

あははは

ガツン

うふふ


パリン


「てめえら殺す」


「お、おい、な、ないふ、はやめろよ!」


アッハッハアッハッハ!


ぐさっ

ぐさっ

ぐさっ


パリン


「?あ、あああ、なにこれ」

私が殺したの?

私が、私が、私が。

もうだめ。


サイレンが煩い。

屋上にまで、足音が聞こえてきた。



さようなら



逆さ地獄


「クラスメイト8人を殺害した最悪の殺人事件の犯人は自殺しました。」

「かわいそうに」

「あんなことする子じゃないと思ってました」

「ひどい。殺された人かわいそうに」